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保育士等のキャリアアップ研修は、2017年4月から全国で始まった研修制度です。この研修は、保育士の皆さんの専門性を高め、キャリアアップを支援することを目的としています。研修を受講し、新たな役職に就くことで、給与アップにもつながる可能性があります。
今回は、人財育成協会の東京都キャリアアップ研修の特徴とも言える「集合型研修」に焦点を当てて、そのメリットとデメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
目次
1. 集合型研修の重要性
集合型研修とは、講師と受講生が同じ空間で対面しながら学ぶ形式で、保育の現場で長年活用されてきた研修方法の一つです。
近年はオンライン研修やeラーニングも増えてきていますが、対面でのコミュニケーション、実践的な学び、即時のフィードバックなどの特徴により、集合型研修のほうが身に付く効果が高いと考えられています。
しかし、集合型研修にもいくつかの課題があるのも事実です。
今回は、集合型研修のメリットとデメリットを紹介していくので、今後、研修を受ける際の参考にしていただければと思います。
また、集合型研修をより効果的に活用するためのポイントも紹介していきます。
2. 集合型研修のメリット
人財育成協会の保育士等キャリアアップ研修は集合型研修です。これには、多くのメリットがあります。
対面のコミュニケーションと学び
集合型研修の最大の強みは、face-to-faceのコミュニケーションです。
講師や他の参加者と直接対話することで、より深い理解と学びが得られます。
表情や身振り手振りなどの非言語コミュニケーションも、学習効果を高める重要な要素です。例えば、子どもとの接し方について学ぶ際、講師の表情や声のトーンから、より細やかなニュアンスを感じ取ることができます。
実践的なスキル習得の機会
集合型研修では、講義だけでなく、グループワークやロールプレイングなどの実践的な学習方法が取り入れられています。そのため、理論だけでなく実践的なスキルが身につきやすいです。
例えば、保護者対応のロールプレイングを通じて、実際の現場で活用できるコミュニケーションスキルを身につけることができます。
即時のフィードバックと質問対応
疑問が生じたときにその場で質問でき、講師から即座にフィードバックを得られることも、集合型研修の大きな利点です。
これにより、理解を深め、疑問を素早く解消することができます。また、他の参加者の質問を聞くことで、自分では思いつかなかった視点を得ることもできます。
情報の共有や交換の場
集合型研修は、保育士同士が出会い、つながる貴重な機会です。グループワークで意見や経験を共有することで、新たな気づきや情報を得ることができます。
実際の経験談を共有することで、悩みが解決したり、自分の保育園で取り組んだりなど、実践的な方法に繋がる可能性があります。
モチベーション向上と集中力の維持
同じ目的を持つ仲間と共に学ぶことで、学習へのモチベーションが高まります。
また、研修に専念できる環境に身を置くことで、日常業務から離れ、学びに集中することもできます。
3.集合型研修のデメリット
集合型研修には多くのメリットがありますが、保育園で働く保育士にとって、いくつかの課題もあります。
時間と場所の制約
集合型研修の最大の課題は、特定の日時に決められた場所に行かなければならないことです。そのため、研修の日程が勤務シフトと重なると、参加が難しくなることがあります。
また、研修会場が遠方の場合、移動時間の確保も課題となります。
人財育成協会の保育士等のキャリアアップ研修については、7月16日から新たな研修会場として新宿の会議室を利用しています。そのため、今まで移動時間がかかっていた方にも、アクセスしやすい環境となりました。
保育現場を離れることの難しさ
保育園では、長時間職場を離れることが難しい場合があります。特に、小規模な保育園では、代替の保育士を確保することが難しい場合があり、研修に参加することで同僚に負担をかけてしまうのではないかと心配になることもあるでしょう。
ですが、研修で学んだことを園に持ち帰り、同僚に共有することで保育園全体の保育の質の向上に繋がるので、協力体制を確保していきましょう。
疲労とストレス
日中の保育業務で疲れているなかで、研修に参加することは身体的にも精神的にも負担がかかります。
しかしながら、いつもと異なる環境でリフレッシュできる、他の保育園の先生と話すことで悩みを解決できるなど、負担ばかりではないと思います。
4.集合型研修vs.eラーニング
保育士にとって、キャリアアップは重要ですが、どのような形式の研修が最適なのか、集合型研修とオンライン研修(eラーニング)を比較し、それぞれの特徴や保育現場での活用しやすさについて見ていきましょう。
適している研修内容の違い
集合型研修
対面での研修は、講師との直接的なやりとりができる点が大きな強みです。例えば、講師が子どもへの接し方や保護者対応を実演した際に、表情や声のトーンなど言葉では説明しきれない、細かな表現を感じ取ることができます。
さらに、その場で質問ができるため、実践的なスキルの理解が深まりやすいでしょう。
eラーニング
eラーニングは、自分のペースで学習を進められる利点があります。例えば、保育に関する法律や制度の学習、安全管理や衛生管理の基礎知識など、難しい内容でも動画を繰り返し視聴することができます。
そのため、知識をじっくりと理解していくことに向いています。
学習効果の比較
集合型研修
集合型研修では、講師だけでなく受講生と交流できるのもポイントです。グループワークを通じて他の保育士と意見交換することで、多様な視点を得られます。
そして、他の保育園の活動や意見について同僚と共有することで、園全体のスキルアップにも繋がります。
eラーニング
eラーニングは同じ学習内容を視聴した受講生であれば、共通の知識を持てるようになります。同僚に共有することで、園全体の知識のスキルアップに繋がります。
しかしながら、集合型研修と比較すると、個人の学習になるため多様な視点を得るというのは難しい部分です。
保育現場での活用のしやすさ
集合型研修
集合型研修は、一定期間保育現場を離れる必要があるため、シフト調整や代替職員の確保が必要になります。
しかし、前述したように、研修で得た学びを同僚と共有することで、園全体の保育の質の向上につながりやすい利点があるので、保育園全体で体制を整えていきましょう。
eラーニング
eラーニングは、日々の保育業務の合間に受講できるため、現場を長時間離れる必要がありません。特に、小規模園や人員に余裕がない園では、この点が大きなメリットとなるでしょう。
例えば、子どもたちのお昼寝の時間や、勤務後の時間を利用して学ぶことができるので、すぐに取り入れることができます。
受講者の満足度の違い
集合型研修
集合型研修では、他の保育士との交流や情報交換ができることが、高い満足度につながっています。同じ悩みを持つ仲間と出会えたり、異なる保育園の取り組みを知ることができたりする点が、多くの保育士に評価されています。
eラーニング
eラーニングは、時間や場所の制約がない点で、多くの保育士から高い満足度を得ています。特に、子育て中の保育士や遠方に住む保育士にとっては、キャリアアップの機会を柔軟に得られる点が魅力となっています。
どちらの研修形式にも、それぞれの長所と短所があります。保育士は、自身のキャリアプランや園の状況、学びたい内容に応じて、適切な研修形式を選択することが大切です。
5.集合型研修を最大限活用するための5つのポイント
限られた時間のなかで、効果的にスキルアップするための5つのポイントを紹介します。
(1)事前準備の重要性
研修の効果を高めるには、事前準備が鍵となります。
・研修内容の予習:事前に配布される資料があれば、目を通しておきましょう。関連する保育の専門書を読んでおくのも良いでしょう。
・質問事項の洗い出し:日々の保育で感じている疑問や課題を整理し、研修で解決したい点をリストアップしておきます。
・園内での調整:同僚や園長先生と相談し、研修参加中の保育体制を事前に整えておきましょう。子どもたちへの説明も忘れずに。
(2)積極的な参加姿勢の重要性
研修当日は、受身の姿勢ではなく、積極的に参加することが大切です。
・質問をする:疑問点はその場で質問しましょう。他の参加者も同じ疑問を持っているかもしれません。
・グループワークでの発言:他園の保育士との交流は貴重な機会です。恥ずかしがらずに自分の意見を述べましょう。
・メモを取る:重要なポイントはメモを取り、後で振り返れるようにしましょう。気づきや感想も書き留めておくと良いでしょう。
(3)研修後の振り返りと実践
研修で得た学びを保育現場で活かすには、研修後の取り組みが重要です。
・学びの整理:研修後は時間を取って、学んだことを整理しましょう。メモを見直し、重要なポイントをまとめます。
・園内での共有:研修で学んだことを同僚と共有する機会を設けましょう。短時間のミーティングでも構いません。
・実践計画の作成:学んだことを具体的にどう保育に活かすか、実践計画を立てましょう。小さなことから始めるのがコツです。東京都の保育士等のキャリアップ研修では研修報告書の提出があるため、学んだことをすぐに言葉でアウトプットすることができます。
(4)継続的な学びの姿勢
1回の研修で全てを学ぶことはできません。継続的な学びの姿勢が大切です。
・自己学習の継続:研修をきっかけに興味を持ったテーマについて、さらに深く学んでいきましょう。
・次の研修への意欲:今回の研修で感じた課題を、次の研修で解決できるよう計画を立てましょう。
(5)園全体での取り組み
個人の学びを園全体の質向上につなげることが重要です。
・園内研修の実施:集合研修で学んだことを基に、園内研修を企画してみましょう。
・保育計画への反映:研修で得た新しい知識や技術を、園の保育計画に反映させる提案をしてみましょう。
・保護者との共有:適切な範囲で、研修で学んだことを保護者に伝え、保育の質向上への取り組みをアピールしましょう。
これらのアドバイスを参考に、集合型研修をより効果的に活用してください!
6.集合型研修の役割
保育士にとって、集合型研修は単なるスキルアップの機会以上の意味を持ちます。ここでは、これまでの内容を踏まえて、集合型研修の意義と保育士としてのキャリア発展における役割をまとめてみましょう。
専門性の向上と自信の獲得
集合研修は、保育士の専門性を高める貴重な機会です。最新の保育理論や実践方法を学ぶことで、日々の保育に自信を持って取り組めるようになります。
例えば、気になる子どもへの対応方法を学ぶことで、より適切なサポートができるようになるでしょう。自信を持つことで、保護者対応や同僚とのコミュニケーションにも良い影響を与えます。
視野の拡大と新たな気づき
他の園の保育士との交流は、自分の保育を客観的に見直す機会となります。「うちの園ではこうしているけど、他の園ではどうなんだろう?」という疑問が解消されたり、「こんな方法があったのか!」という新たな発見があったりします。
この経験は、保育の幅を広げ、子どもたちにより豊かな環境を提供することにつながります。
モチベーションの向上と持続
日々の保育に追われていると、時として仕事にマンネリを感じることもあると思います。集合型研修は、そんな日常から一歩離れ、初心に返る機会となります。
同じ志を持つ仲間との出会いや、新しい知識の獲得は、モチベーションを高め、保育への活力になります。
キャリアパスの明確化
集合型研修は、自分自身のキャリアについて考える良いきっかけとなります。
様々な経験を持つ保育士との交流や、多様な研修内容に触れることで、「今後どのような保育士になりたいか」「どんなスキルを磨きたいか」といったキャリアビジョンが明確になっていきます。
保育の質の向上と子どもたちへの還元
最終的に、集合型研修で得た学びは子どもたちに還元されます。新しい遊びの導入、より適切な言葉かけ、安全管理の徹底など、研修での学びは様々な形で保育の質の向上につながります。
これは、子どもたちの健やかな成長を支えることにつながるのです。
集合型研修は、保育士が成長し、キャリアアップしていく方法の一つです。日々の業務に追われがちですが、この貴重な機会を積極的に活用することで、保育士自身、そして大切な子どもたちも、より豊かな保育環境の中で成長していけます。
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