保育士等キャリアアップ研修の制度で、手当が支給されるのはご存知ですか?
2017年に始まったこの研修制度は、保育士の専門性向上と処遇改善を同時に推進することを目的としていて、研修の修了に応じて処遇改善手当が支給されます。
また、保育士等キャリアアップ研修の制度以外にも、各自治体で保育士を支える手当制度を設けられています。
今回は、保育士の処遇改善手当や各自治体の手当制度について紹介していきます。
目次
1. 保育士の処遇改善手当とは何か?
2023年の統計によると、保育士の平均年収は約396.9万円でした。この数値は他の職種と比較して低く、保育士の離職率の高さの一因となっています。
保育士の処遇改善手当は、保育士の賃金を改善するために支給される補助金のことです。
この手当は、保育士の待遇を向上させ、離職率の低下を目指して2013年に内閣府が導入しました。
また、保育士の待遇改善の一環として、2017年に「保育士等キャリアアップ研修制度」が導入されました。
この研修制度は、保育士の専門性を向上させること、処遇改善を同時に推進することを目的としており、リーダー職員の育成を図るための研修を提供しています。さらに、研修を修了することで、保育士は処遇改善手当の対象となる役職に就くことができます。
詳しくは次の章で紹介します!
2.保育士キャリアアップ研修制度の概要
処遇改善手当を受給できる保育士キャリアアップ研修は、以下の8つの分野で構成されています。
①乳児保育
乳児保育の研修では、最も個人差の大きい時期にある0歳から3歳未満の子どもたちの発達を支えるための保育技術に焦点を当てます。
②幼児教育
幼児教育の研修では、3歳以上の子どもたちの社会性や言語能力の発達を促す活動に焦点を当てます。
③障害児保育
障害児保育の研修では、障害を持つ子どもたちへの適切な支援方法や、関係機関との連携の仕方、施設の種類や違いについても学ぶことができます。
④食育・アレルギー対応
食育・アレルギー対応の研修では、健康的な食生活の重要性と、アレルギーを持つ子どもたちへの対応策を学びます。
⑤保健衛生・安全対策
保健衛生・安全対策の研修では、感染症の予防や、緊急時の対応について学びます。
⑥保護者支援・子育て支援
保護者支援・子育て支援の研修では、保護者とのコミュニケーションスキルや、家庭での子育てを支援するためのアドバイス方法を学びます。
⑦マネジメント研修
マネジメント研修では、保育施設の運営に必要なリーダーシップや、チームマネジメントの技術を習得します。園のミドルリーダーとして、モチベーション向上策などが学べます。
⑧保育実践研修
保育実践研修では、実際の保育現場で直面する様々な状況に対応するための実践的なスキルを身につけます。
保育士等のキャリアアップ研修の対象者
職務分野別リーダー
【要件】
・ 経験年数概ね3年以上
・ 担当する職務分野(上記①~⑥)の研修を修了
・ 修了した研修分野に係る職務分野別リーダー※としての発令
※乳児保育リーダー、食育・アレルギーリーダー 等
※同一分野について複数の職員に発令することも可能
専門リーダー
【要件】
・ 経験年数概ね7年以上
・ 職務分野別リーダーを経験
・ 4つ以上の分野の研修を修了
・ 専門リーダーとしての発令
副主任保育士
【要件】
・ 経験年数概ね7年以上
・ 職務分野別リーダーを経験
・ マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了
・ 副主任保育士としての発令
保育士等のキャリアアップ研修についての詳細を知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
3.保育士が受けられる処遇改善手当3種
前述した保育士等のキャリアアップ研修制度で受給される手当を含め、処遇改善手当は3種あります。
処遇改善加算Ⅰ
職員の平均勤続年数に応じて支給される手当で、月額12,000円から最大38,000円が支給されます。
処遇改善加算Ⅰは、正規職員だけでなく、1日6時間以上、かつ月20日以上勤務する派遣職員やパート・アルバイトなどの非正規職員も対象です。
処遇改善加算Ⅱ
キャリアアップ研修の対象はこちらです。処遇改善加算Ⅱを受給できる保育士は、「3年以上の保育士経験があり、所定のキャリアアップ研修を規定数修了した職員であること」です。
8つの研修の中から1つを修了した後、職務分野別リーダーに昇進すれば、月額5000円の手当を受け取ることができます。
さらに、専門リーダーや副主任保育士として昇進すれば、最大で月額40000円の手当が支給される仕組みです。
処遇改善加算Ⅲ
労働条件の改善を促進するための手当で、月額9,000円(収入の3%程度)が支給されます。保育所や幼稚園等に勤務する職員が対象となります。
また、非常勤職員や派遣職員も対象とすることができます。
4.東京都(23区)の取り組み例の紹介
保育士が使える、東京都の自治体における独自の制度を一部紹介します。こちらは2024年8月13日時点の内容ですので、最新の情報は各自治体のホームページでご確認ください。
荒川区
奨学金を返済するための費用を一部を補助
補助上限額:年度内20万円(ひとり親家庭等については30万円)
対象者:区内の私立保育施設等を経営する法人等に常勤として採用され、採用後5年未満であること
家賃補助
最大:82,000円
対象者:荒川区内の該当保育施設で常勤勤務
その他詳細は区のホームページへ
大田区
経験年数に伴う交付
交付額:6万円/回(1万円/月)
対象者:保育士等としての経験年月数が交付対象期間(前期:4月~9月、後期:10月~翌3月)の初日時点において満5年未満の常勤保育士
交付額:100,000円/回
対象者:保育士等としての経験年月数(ただし、区内保育施設に限る)が交付申請年度の前年度中に満10、15、20、25、30、35又は40年のいずれかに達した常勤保育士
家賃補助
支給額:82,000円
対象者:施設長、保育士、保育補助者、調理員、看護師等であって、 1日6時間以上かつ月20日以上の勤務をしていること
詳細は区のホームページへ
5.まとめ
保育士の給与や労働環境が十分でないことが多く、これが離職率の高さや人材不足の原因となっています。
処遇改善制度を利用することで、収入面を支えることができますが、労働環境を直接変えることは難しいです。
そこで、保育士等キャリアップ研修を受講し、専門知識を増やすことや、マネジメントスキルを身につけることで、保育士自身で職場の環境を変えていくことができます。
一人では難しいことでも、職場の同僚や専門知識を持った講師、他の園の保育士など多くの人と情報を共有して、働きやすい環境を作っていきましょう。
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