保育士等キャリアアップ研修は、保育士の専門性向上と保育の質の向上を目的に、キャリア形成と処遇改善(給与改善)を進めるために導入された制度です。
このページでは、保育士等キャリアアップ研修の制度の目的、対象者、研修分野、役職との関係、令和8年度制度改正のポイントまで、わかりやすく解説します。
※本ページは令和8年度時点の制度に基づいて解説しています。
保育士等キャリアアップ研修はなぜ作られたのか
近年、保育現場を取り巻く環境は大きく変化し、保育士にはより高い専門性が求められるようになっています。こうした背景から、に「保育士等キャリアアップ研修」が創設されました。
この制度は、保育の質向上・保育士のキャリア形成・処遇改善を目的とした仕組みです。
保育士等キャリアアップ研修は誰が受けるのか
受講対象となる職種
保育士等キャリアアップ研修および処遇改善等加算は、保育現場で働く幅広い職種と施設が対象となっています。
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保育士・幼稚園教諭
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調理員・栄養士
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事務職員
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看護師・保健師
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その他職員(スクールバスの運転手など)
受講対象となる施設・事業所
以下の保育所・認定こども園などに勤務している職員が対象です。
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保育所
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認定こども園
(幼保連携型・幼稚園型など)
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地域型保育事業
(小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業)
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幼稚園
(預かり保育など、特定教育・保育施設として認定を受けている場合)
保育士等キャリアアップ研修の分野
保育士等キャリアアップ研修は、大きく分けて「専門分野」「マネジメント」「保育実践」の合計8つの分野で構成されています。
1分野につき15時間以上の受講が必要です。受講後にレポート提出などを行い、知識・技能の習得を確認します。
各分野の概要はこちらで解説しています。
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乳児保育
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幼児教育
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障害児保育
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食育・アレルギー
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保健衛生・安全対策
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保護者支援・子育て支援
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マネジメント
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保育実践
保育士等キャリアアップ研修の受講メリット
保育士等キャリアアップ研修を修了することで、保育士としての専門性を高めながら、給与改善やキャリアアップにつなげることができます。また、園全体で計画的に研修受講を進めることは、園全体の質の向上や安定した園運営にもつながります。
受講者のメリット
園(経営者・管理者)のメリット
給料アップ
月額5,000円〜40,000円の賃金改善
職務分野別リーダー
+5,000円副主任保育士
+40,000円
キャリア形成
ステップが明確になりモチベーションが向上
保育士
職務分野別リーダー
副主任保育士
主任保育士・園長
専門性向上
実践的な知識と技術を習得し、自信になる
乳児保育
障害児保育
食育・アレルギー
マネジメント
など8分野
全国で有効
修了証は取得したら「一生モノ」
全国共通
転職後も有効
引越し後も有効
有効期限なし
園全体の質の向上
職員の保育の専門性が向上、保育の質が向上
専門知識の習得
保育課題への対応力向上
安全で質の高い保育
中堅リーダー育成
現場を支える中堅職員が育つ
職務分野別リーダー
の育成副主任保育士などの
リーダー層の強化主任や園長を支える
体制づくり
組織力アップ
職員共通の知識や視点で職員間の連携がスムーズ
職員間の連携強化
対話の活性化
定着率向上
処遇改善加算
処遇改善加算を安定して受けられる仕組み
処遇改善加算(区分3)
副主任は4分野修了
なぜ研修を受けると給与が上がるのか
保育士等キャリアアップ研修は、単なるスキルアップのための研修ではありません。この研修は、国の制度である 「処遇改善等加算」 と連動しており、
研修を修了して役職に就くことで、給与改善の対象となります。
ここでは、キャリアアップ研修と処遇改善制度の関係について解説します。
給与改善(処遇改善等加算)の区分
令和7年度(2025年度)から、保育士等の処遇改善制度は一本化され、「3つの区分」で構成される仕組みに整理されました。
ここでは、令和8年度時点の制度に基づく3つの区分について解説します。
区分1(基礎分)
長く働くことでの昇給
勤続年数で昇給
(2%~12%)全職員対象
区分2(賃金改善分)
全体の給与底上げ
給与底上げ
全職員対象
区分3(質の向上分)
研修修了による
キャリアアップ
研修修了で加算
(月5,000円~40,000円)副主任・リーダー等対象
この3つの区分を組み合わせることで、「長く働くことでの昇給(区分1)」「全体の給与底上げ(区分2)」「研修修了によるキャリアアップ(区分3)」という、多角的な処遇改善が行われる仕組みとなっています。
なお、区分3は主に中堅保育士を対象としていますが、園の実態に応じて、事務職員・調理員・栄養士・看護師などがリーダー的な役割を担う場合には、賃金改善の対象とすることも可能です。
保育士等キャリアアップ研修と役職・給与の関係
保育士等キャリアアップ研修は、保育現場で活躍するリーダー職員を育成するための制度です。研修を修了し、園内で役職(職務分野別リーダー・副主任保育士など)に就くことで、処遇改善等加算(区分3:質の向上分)による賃金改善の対象となります。
修了証は全国で有効・一生使える資格
保育士等キャリアアップ研修を修了すると、各分野ごとに修了証が発行されます。この修了証には、次のような特徴があります。
全国どこでも有効
修了証は全国の都道府県で有効です。引っ越しや転職をしても、取得した研修履歴はそのまま活用できます。
有効期限なし(一生涯有効)
修了証に有効期限はありません。離職後に再就職した場合でも、以前に修了した研修の効力は引き続き有効です。
修了要件と令和8年度制度改正のポイント
保育士等キャリアアップ研修では、役職に応じて専門分野の研修を修了する必要があります。
各研修は 1分野15時間以上 の受講が修了要件となっており、副主任保育士・専門リーダーなどの役職に就くためには、複数分野の修了が求められます。
また、令和8年度(2026年度)から制度が完全実施となり、これまでの経過措置は終了しました。そのため、処遇改善等加算の算定ルールがより明確・厳格になっています。園では、職員の研修受講状況を把握し、計画的に受講を進めていくことが重要です。
令和8年度の制度改正については、
こちらのページで詳しく解説しています。
修了要件: 職務分野別リーダー・若手リーダー
適用時期:経験年数概ね3年以上
※適用時期についてはそれぞれ各園で任命された役職によって異なります。
修了要件:副主任保育士・専門リーダー(及び中核リーダー)
適用時期:経験年数概ね7年以上
※適用時期についてはそれぞれ各園で任命された役職によって異なります。
令和8年度制度改正のポイント
ポイント1
副主任・専門リーダーは
「4分野修了」が必須
加算額を算定するためには、合計で4分野(60時間以上)の研修修了が必須となります。
ポイント2
キャリアパス制度
(要件)が必須
職場環境の改善を目的とした「キャリアパス要件」が、令和8年度から区分1(基礎分)算定の完全な必須条件となります。
ポイント3
4月1日時点で修了していることが算定条件
加算額を計算するための人数カウント(算定)において、「4月1日時点で研修を修了していること」が原則となります。
保育士等キャリアアップ研修のQ&A
国や東京都が公表しているガイドラインや制度資料、および各都道府県が示している運用内容をもとに、保育施設や保育士の皆さまから疑問として挙がりやすい内容をQ&A形式で整理しました。
なお、人財育成協会が実施している研修の申込方法や受講方法など、当協会の研修運営に関するご質問については、別ページに掲載している「よくある質問」をご確認ください。
- 保育士等キャリアアップ研修はオンラインで受講できますか?
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はい、受講可能です。 国のガイドラインに基づき、各都道府県や指定研修機関において「ライブ形式(リアルタイム)」や「オンデマンド形式(録画視聴)」によるeラーニング研修が実施されています。 ただし、15時間の研修のうち3時間以上はグループ討議などの「演習」をライブまたは集合形式で行うことが質担保のために求められています。 受講の際は、お住まいの自治体や研修機関が指定する形式を確認してください。
- 何年目から受講対象ですか?
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役職や経験年数によって主な対象が決まっています。
- 職務分野別リーダーを目指す方:経験年数概ね3年以上の保育士等が対象です。
- 副主任保育士・専門リーダーを目指す方:経験年数概ね7年以上で、職務分野別リーダーを経験した方が対象です。
- その他:実習経験の少ない方やブランクがある方向けの「保育実践研修」などもあります。
また、保育士や幼稚園教諭だけでなく、事務職員、調理員、栄養士、看護師、スクールバスの運転手など、通常の教育・保育に従事するすべての職員が受講の対象となっています。
- 東京都外の施設で働いていても、東京都の研修を受講できますか?
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原則として、勤務先の都道府県で受講しますが、空きがあれば可能です。 保育士等キャリアアップ研修は各都道府県が実施主体となっているため、基本的には都内の施設に勤務する方が優先されます。 ただし、定員に空きがある場合に限り、他道府県に勤務している方も受講できる場合があります。
- 修了証はいつもらえますか?
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各研修分野(1分野15時間以上)の受講をすべて終え、受講後に提出するレポートなどによる「研修修了の評価」が完了した後に発行されます。この評価が完了すると、都道府県または知事が指定した研修実施機関から修了証が交付されます。
なお、修了証の発行までの期間は研修実施機関によって異なります。重要な点となりますので、具体的な発行時期については各研修実施機関へご確認ください。
令和8年度(2026年度)以降は制度が完全実施となり、4月1日時点で実際に修了していることが必須条件となります。そのため、加算を確実に算定するためには、年度末(3月)までに研修受講と評価をすべて完了し、修了証を取得しておくことが重要です。
- 修了証は転職しても使えますか?
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はい、全国どこでも一生有効です。 キャリアアップ研修の修了証の効力は全国で有効です。 また、一度取得すれば有効期限はなく、途中で離職して別の園に再就職した場合でも、以前の研修修了の効力は引き続き有効となります。キャリアを証明する大切な書類ですので、適切に保管してください。
- 年度の途中で研修を修了した場合、すぐにお給料に反映されますか?
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施設が国から受け取れる加算額は、その年度の4月1日時点での研修修了者数に基づいて決まります。 そのため、年度途中の修了は翌年度の算定に反映されるのが原則です。 ただし、実際に受け取った加算額を職員へ配分する際、園の判断で「年度途中に新たに役職に就いた人」を手当の対象に含めることは可能です。
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人財育成協会の想い
人財育成協会は、人材育成に熱い想いをもつ専門家が集まり設立された団体です。
教育を通じて「人財」の育成に貢献し、保育士の成長と保育現場の発展につながる研修を提供しています。