保育士不足解消!離職を防ぐ人材育成の秘訣

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必死に採用活動をしても人材が定着せず、保育士がまた離職していく

このような悪循環に苦しむ保育園が全国で増加しています。

本記事では、人材育成の観点から保育士が辞めない園づくりの方法を紹介します。

保育現場における人材育成の重要性

保育士不足の中で人材育成が果たす役割

少子化が進む日本において、保育士不足は年々深刻化しています。

新たな保育士の採用が難しい今、すでに働いている保育士の「育成」と「定着」が何よりも重要になっています。

人材育成の視点をもつことで、保育士の専門性と意欲を高め、同時に離職を防ぐという二つの効果が期待できます。特に、コロナ禍を経て保育現場でも対面での研修機会が減少する中、効果的な人材育成の方法を再構築することが急務となっています。

保育士が成長を実感できる環境づくり

保育士は子どもの成長を支える専門職ですが、自分自身の成長も実感できる環境が大切です。

「今日も一日頑張ったけれど、自分は成長しているのだろうか」と立ち止まってしまうことはありませんか?

人材育成の仕組みがしっかりとある園では、保育士自身が自分の成長を実感し、将来のビジョンを描くことができます。

それが「この園で長く働きたい」という気持ちにつながり、離職防止の大きな力となります。

保育士の離職を防ぐ人材育成の考え方

主体性・人間性・専門性のバランスを大切に

人材育成において「資質・能力三本柱」という考え方があります。これを保育現場に当てはめると、以下の3つの柱が重要です。

  1. 主体性:自ら考え、判断し、行動する力
  2. 人間性:思いやりの心や協調性、生活習慣など
  3. 専門性:保育に関する専門的な知識や技術

保育士の育成では、「専門性」だけに焦点を当てがちですが、実は「主体性」と「人間性」も同じくらい大切です。子ども一人ひとりに合わせた保育を考える「主体性」や、保護者や同僚との関係づくりに欠かせない「人間性」があってこそ、「専門性」が生きてきます。

この3つをバランスよく育むことで、保育の質を高めながら、保育士自身も充実感をもって働き続けることができるのです。

保育士のキャリアステージに応じた育成

保育士のキャリアは大きく以下のステージに分けられます。

  1. 新任保育士(経験1~3年):基本を身につける時期
  2. 中堅保育士(経験3~7年):専門性を深める時期
  3. リーダー保育士(経験7年以上):後輩を育てる時期
  4. 主任・副主任:園全体を見る時期
  5. 園長・施設長:経営の視点をもつ時期

それぞれの段階で身につけるべきことや役割が変わります。

例えば、新任の頃は「基本的な保育技術や子どもとの関わり方」を学ぶことが中心ですが、中堅になると「保育の応用力や保護者対応」など、より高度なスキルが求められます。

ステージに合わせた育成計画を立てることで、保育士は「次に何を学べばよいのか」が明確になり、成長の道筋を実感できるようになります。

保育士のキャリアステージごとの育成のポイント

キャリアパスの見える化がもたらすもの

保育士のキャリアパスを明確にすることで、次のような効果が期待できます。

  1. 目標ができる:「次は○○のような保育士になりたい」という具体的なイメージがもてる
  2. 成長が見える:「前はできなかったことができるようになった」と成長を実感できる
  3. やりがいが生まれる:「自分の専門性を活かせる場がある」とやりがいを感じられる
  4. 安心感が増す:「この園で長く働いても、成長し続けられる」と安心できる

保育士が「この園で頑張れば、自分はどうなれるのか」をイメージできることが、離職を防ぐ大きな力になります。

保育士のキャリアステージごとの育成ポイント

新任保育士の育成ポイント

  • 保育の基本を丁寧に教える(子どもの発達理解、基本的な関わり方など)
  • 失敗を恐れず挑戦できる環境づくり 
  • 先輩保育士とのコミュニケーション機会の確保
  • 悩みを相談しやすい関係性の構築

中堅保育士の育成ポイント

  • 特定分野の専門性を深める機会の提供
  •  若手保育士への指導方法の伝授
  •  保護者対応や困難事例への対応力向上
  •  園内研修の企画
  • 運営への参画

リーダー保育士の育成ポイント

  • マネジメント能力の育成 
  • 人材育成の方法論の習得 
  • 保育の質の評価
  • 改善スキルの向上
  •  園全体を見る視点の養成

それぞれのステージで適切な研修や経験を積むことで、保育士は着実に成長していきます。園としては、この成長を評価・承認し、適切な役割や処遇につなげていくことが大切です。

保育士等キャリアアップ研修を活用した人材育成

保育士等キャリアアップ研修制度の概要と活用法

キャリアアップ研修は、保育士の専門性向上と処遇改善を目的とした公的研修制度です。

次の8分野について、それぞれ15時間程度の専門的な研修が用意されています。

  1. 乳児保育
  2. 幼児教育
  3. 障害児保育
  4. 食育・アレルギー
  5. 保健衛生・安全対策
  6. 保護者支援・子育て支援
  7. 保育実践
  8. マネジメント

これらの研修を計画的に受講することで、保育士の専門性が高まるだけでなく、「処遇改善等加算Ⅱ」により給与アップにもつながります。

キャリアアップ研修を人材育成に活用するポイントは、「誰に」「どの分野を」「いつ」受講してもらうかを戦略的に考えることです。園の特色や課題に合わせて、優先順位をつけて受講計画を立てましょう。

保育士等キャリアアップ研修についてはこちらの記事で紹介しています。

研修効果を最大化するための工夫

キャリアアップ研修の効果を高めるためには、次のような工夫が有効です。

1.研修前の準備 

  • 研修の目的や内容を受講者と共有する
  • 現場の課題と研修内容をつなげて考える
  • 研修で特に学んできてほしいことを伝える

2.研修中のサポート

  • 研修に集中できるようシフト調整をする
  • 研修中の気づきをメモする習慣づけを促す
  • 遠方の研修の場合は交通費や時間の配慮をする

3.研修後のフォローアップ 

  • 研修内容を園内で共有する場を設ける
  • 学んだことを実践する機会を意図的につくる
  • 実践した結果をふりかえり、定着を図る

特に大切なのは「研修で終わらせない」ことです。研修での学びを日々の保育に活かし、その効果を皆で確認し合うサイクルをつくることで、園全体の保育の質が向上していきます。

園内での効果的な人材育成の方法

OJTを活用した日常的な育成

保育士の育成は、外部研修だけでなく、日々の保育の中でこそ効果的に行われます。これを「OJT(On the Job Training:職場内訓練)」と呼びます。

効果的なOJTのポイントは以下の通りです。

  1. 目標の明確化:何を、いつまでに、どのレベルまで習得するかを明確にする
  2. 段階的な指導:「見る→やってみる→振り返る→改善する」のステップを踏む
  3. 適切なフィードバック:良かった点と改善点を具体的に伝える
  4. 成功体験の積み重ね:少し難しいけれど達成可能な課題を与える

例えば、行事の企画を任せる場合、最初は先輩と一緒に担当し、次は自分が主担当となって先輩がサポートする、そして最終的には一人で担当するという段階を踏むことで、着実に力をつけていくことができます。

園内研修の充実と活性化

園内研修は、外部研修と異なり、自園の課題や特色に合わせてテーマを設定できる大きなメリットがあります。効果的な園内研修のポイントは以下の通りです。

  1. テーマの適切な選定:現場の課題や保育士の関心に基づいて選ぶ
  2. 参加型の運営:一方的な講義ではなく、話し合いや実技を取り入れる
  3. 実践につながる工夫:研修後すぐに試せる具体的な方法を示す
  4. 継続的な取り組み:単発ではなく、テーマを深めていく連続性をもたせる

特に、保育士の「主体性」を育むためには、園内研修の企画・運営自体を中堅保育士に任せるという方法も有効です。自分たちで考えた研修は当事者意識が高まり、実践への意欲も増します。

人材育成を支える園の風土づくり

どんなに素晴らしい研修制度やOJTの仕組みがあっても、園の風土が育成を支えていなければ効果は半減します。人材育成を促進する園の風土づくりには次のポイントが重要です。

  1. 失敗を恐れない文化:失敗を責めるのではなく、学びの機会として捉える
  2. お互いの保育を見合う習慣:良い実践を共有し、学び合う関係性をつくる
  3. 質問しやすい雰囲気:「分からない」と言える心理的安全性を確保する
  4. チャレンジを認める姿勢:新しいことに挑戦する姿勢を評価する

園長や主任が率先して「自分も学び続ける」姿勢を見せることで、園全体に学びの文化が浸透していきます。

人材育成を通じた働きやすい環境づくり

保育士の成長と働きやすさの好循環

人材育成と働きやすい環境づくりは、密接に関連しています。保育士が成長すると、次のような好循環が生まれます。

  1. 業務効率の向上:専門性が高まると業務がスムーズになり、負担が軽減される
  2. チームワークの強化:それぞれの強みを活かせるようになり、協力関係が深まる
  3. 自己効力感の向上:「できる」という実感が増し、仕事への意欲が高まる
  4. 職場の活性化:前向きな姿勢が周囲にも伝わり、職場全体が活気づく

このように、人材育成は単に「スキルアップ」だけでなく、働きやすい職場環境の土台となるものです。

人材育成の視点を取り入れた業務改善

人材育成の考え方を業務改善に活かすことで、保育士の負担軽減と成長の両立が可能になります。

  1. 業務の棚卸と整理:「本当に必要な業務は何か」を見直し、優先順位をつける
  2. 得意分野の活用:研修で専門性を高めた分野を園内の業務分担に反映する
  3. ICT活用のサポート:デジタル機器の操作も成長の機会と捉え、段階的に習得を支援する
  4. 振り返りと改善のサイクル:定期的に業務の振り返りを行い、より良い方法を考える

特に「主体性」を育む視点から、保育士自身が業務改善の提案をできる仕組みをつくることが重要です。

ワークライフバランスと人材育成の両立

保育士のワークライフバランスを支えることも、人材育成の重要な側面です。

  1. 成長のための時間確保:研修参加や自己研鑽のための時間的余裕をつくる
  2. ライフステージに合わせた育成:育児や介護などの状況に応じた柔軟な育成計画
  3. 心身の健康管理:ストレスマネジメントや健康維持の知識・スキルの習得
  4. 長期的なキャリア展望:ライフイベントを考慮した長期的なキャリアパスの提示

保育士自身が「仕事と生活のバランス」を考え、自分らしい働き方を選択できるよう支援することが、長く働き続けられる環境づくりにつながります。

人材育成を園の特色にして「選ばれる園」に

「育成する園」としてのブランディング

保育士不足の時代、人材育成に力を入れている園は「選ばれる園」になります。

「うちの園で働けば成長できる」というメッセージは、新卒者だけでなく、キャリアアップを目指す経験者にとっても魅力的です。

具体的な取り組みとしては、以下のようなものが考えられます。

  1. 園の理念に「人材育成」を位置づける:保育理念の中に「共に学び、共に育つ」などの考え方を盛り込む
  2. 育成体制の見える化:研修制度やキャリアパスを明確に示し、園内外に発信する
  3. 育成実績のアピール:スキルアップした保育士や新たな取り組みを園だよりやSNSで紹介する
  4. 学びの文化の醸成:「常に学び続ける」ことを園の文化として大切にする

こうした取り組みにより、「この園で働けば成長できる」という評判が広がり、優秀な人材が集まる好循環が生まれます。

人材育成を通じた園の保育の質向上

人材育成は、保育士個人の成長だけでなく、園全体の保育の質向上にもつながります。

  1. 専門性の向上:最新の知識や技術を学ぶことで、保育内容が充実する
  2. チーム力の強化:個々の強みを活かしたチーム編成により、多様な保育が可能になる
  3. 課題解決力の向上:様々な視点から課題を捉え、解決策を見出す力が高まる
  4. 保護者支援の充実:コミュニケーション力や相談支援スキルの向上により、保護者との関係が深まる

特に「人間性」の育成に力を入れることで、保育士同士、保育士と子ども、保育士と保護者の関係性が豊かになり、園全体が温かな雰囲気に包まれるようになります。

まとめ:人材育成で保育士不足を乗り越える

人材育成は最大の投資

保育園経営において、人材育成への投資は最も重要な経営戦略の一つです。短期的にはコストがかかるように見えても、長期的には以下のようなリターンをもたらします。

  1. 離職率の低下:採用・教育コストの削減
  2. 保育の質の向上:園の評判向上、選ばれる園になる
  3. 保育士の意欲向上:生産性の向上、新たな取り組みの創出
  4. 組織文化の醸成:協力し合う風土による相乗効果
  5. 経営基盤の強化:持続可能な園運営の実現

人材育成は「コスト」ではなく「投資」という視点で捉え直すことが重要です。

キャリアアップ研修の活用から始める人材育成

キャリアアップ研修を活用した人材育成を始めるためには、以下のステップがおすすめです。

  1. 現状分析:園の強み・弱み、職員の構成・スキルを把握しましょう
  2. 目標設定:園として育成したい人材像を明確にしましょう
  3. 研修計画の立案:誰が、いつ、どの研修を受けるかを計画しましょう
  4. 予算・体制の確保:研修費用、研修中の代替職員等の手配を考えましょう
  5. フォローアップ体制:研修後の実践を支援する仕組みをつくりましょう

特に、「誰を」「何のために」研修に派遣するのかを明確にすることが重要です。

保育士不足時代を乗り越えるために

保育士不足の時代において、「採用」だけに頼るのではなく、「育成」と「定着」を重視した人材戦略が求められています。

「資質・能力三本柱」の考え方を取り入れ、主体性・人間性・専門性をバランスよく育む組織づくりが、保育士不足解消への近道となるでしょう。

そして何より、保育士一人ひとりが「自分は大切にされている」「成長している」と実感できる園こそが、選ばれ続ける園となります。

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